なぜ無機顔料は肌から退色するのか?(パート3)

なぜ無機顔料は肌から退色するのか?(パート3)

カーボンブラックと二酸化チタンの代謝について

二酸化チタンの特性

  • 二酸化チタン(白色顔料)は体内で分解されません。

  • たとえ細胞内に取り込まれたとしても、分解も代謝もされず、そのまま細胞内に“居座り続けます”。

  • 体液でも溶けず、いかなる生体反応でも分解できません。

  • マクロファージでも処理できません。例えるなら、レンガを食べようとしているようなものです。

  • また、トランスフェリン(体内の鉄と結びつくタンパク質)も、二酸化チタンには興味を示しません。なぜなら、二酸化チタンは生体由来物質(biogenic material)ではないからです。

  • レーザーでも除去できません。

  • つまり、この顔料は一度皮膚に入ると、一生体内にとどまり続けます。

※「特別な二酸化チタンだからそのうち代謝されます」という話は、科学的にあり得ないウソです。


カーボンブラックの特性

  • カーボン(炭素)は、純粋な状態では生体にはあまり関心を持たれません。

  • トランスフェリンに認識され、排出の対象になるためには、酸化反応によって“生体由来物質化”する必要がありますが、これは体内では起こりません。

  • したがって、カーボンブラックもトランスフェリンでは処理されません。

しかし、有機顔料と同様に:

  • マクロファージはカーボンブラックを処理可能です。

  • 特に、顔など常に体液の流れがある部位では、微細なカーボンブラックの粒子は徐々に壊され、マクロファージによって“食べられ”排出されていきます。

  • このため、眉のアートメイクは少しずつ、均一に薄くなっていくのです。
    (ただし、適切な深さと、バランスよく調合されたブラウン顔料であることが前提です)

  • 一方で、体の他の部位(例えば腕や背中)に入れた黒のタトゥーは、カーボン粒子がそのまま残りやすいため、色も黒いままになります。

さらに、カーボンブラックはレーザーによって非常に簡単に破壊されます。

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