なぜ無機顔料は肌から退色するのか?(パート1)

なぜ無機顔料は肌から退色するのか?(パート1)

代謝の影響

無機顔料は、有機顔料に比べて体内で代謝される速度が早いため、退色しやすいのです。

このプロセス全体は、いわゆる「色素の排出(pigment fallout)」と呼ばれ、人体内の酸化還元反応(レドックス反応)に関係しています。

簡単に言えば、「トランスフェリン」というタンパク質(卵のたんぱく質ではありません)が色素粒子をキャッチし、その一部を血流に取り込ませようとしつつ、残りは体外に自然排出しようとするのです。

 

無機顔料は「鉄」である

無機顔料、つまり鉄は、生体にとって必要不可欠な化学元素=生体由来物質であるため、こうした体内プロセスに積極的に関与します。

具体的には以下のような流れになります:

  1. 色素が皮膚下に注入される

  2. 酸化還元反応がすぐに始まる
    反応速度は非常に速いですが、大量の色素が一度に入るため、退色は徐々に進行します

  3. 色素は、最終的に可溶性の塩(調理用の塩ではありません)へと変化します

  4. 一部の色素は、赤色骨髄を通じてトランスフェリンにより変換され、赤血球が生成されます
     つまり、色素が血流に取り込まれるということです

  5. 残りの色素(可溶性塩)は、肝臓や脾臓といった体内のフィルターを通過します

  6. 最後に、腸や腎臓を経由して自然に体外へ排出されます
     

このプロセス全体には約1年から1年半程度かかります(人によってはそれ以上、またはそれ以下の場合もあります)。


この退色スピードは、その人の体質や代謝の安定性/不安定性によって大きく左右されます。

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